2020年6月11日 6:01 pm

近くで営業している大手不動産業者の営業所店長からの紹介で、名古屋市内の地主さんの相談を受けました。地主の息子さんも同席して、お話をうかがいました。

所有する土地のひとつを50年以上前に戸建住宅建築のため借地契約を結んで貸しています。契約時期から判断すると、旧法の借地権です。借地人は現在夫婦だけで生活しており、借地人夫人から、建物が古くなったので建替えを考えているとの打診があったそうです。

その借地人夫人からの提案は、①相応の建替承諾料を支払う、②夫が先に亡くなったら(それ前提?)東京に嫁いだ一人娘のところに行くので定期借地契約にしたい、③定期借地契約にするので地代を安くして欲しいといったものです。

これらのあらすじを基に意見を聞きたいとの相談でしたので、そこそこの地代であれば、旧法の借地契約のまま建替えを承諾するよりは、今の契約を双方の合意で解除した後新たに一般定期借地契約を結ぶほうが地主にとっては好ましいと回答しました。一般定期借地契約の期間は50年以上であり、途中に借地権付き建物として売却される可能性はあるものの、借地人の年齢や家族構成から期間満了前に契約解除の可能性が高いからです。また、旧法の借地権として相続されるよりは、定期借地権となっているほうが地主としては安心だからです。

一般的に、旧法の借地契約では借地人の立場が強いといわれていますが、あえて借地人側から定期借地契約でもいいとの提案があるということは、現行地代の水準や当該不動産の立地が魅力的ではない可能性があります。

もし定期借地契約の方向で進むようであれば、トラブルを避けるためにも、現行の借地契約の解除が双方の合意で円満になされた証拠を残しておくことと、新たな定期借地権設定契約書に借地人側からの解約を認める特約を検討すべきことを意見させていただきました。

現行契約を解除し新たに一般定期借地契約を結ぶこととなった場合に、そこに建替承諾料というものが発生する余地があるのかという点と、地主側に相続が発生した場合、定期借地ではその時期によって財産評価が変わってしまうので現行契約との損得比較の点については即答ができませんでした。これらについては、話が進むようであれば、弁護士と税理士によく相談をしてくださいとお願いしました。

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