2020年6月17日 1:12 pm

 地元不動産業者の社長から立退料算定の相談がありました。物件は名古屋市内の店舗や事務所が建ち並ぶ道路に面する3階建ビル。家主は東京在住で、当該不動産業者に管理を委託しています。ビルの2~3階はすべて退去済みで、1階をスポーツ用品卸売業者に事務所兼倉庫として賃貸中です。

 不動産業者社長が家主と1階賃借人の間に入り、弁護士とも相談しながら交渉をしてます。旧耐震の建物で老朽化もあり、正当事由の補強として相応の立退料の支払いを腹積もりし借家人のところに何度も足を運んでいるそうです。

 この社長の話では、交渉がなかなか進まないことで東京にいる家主がかなりカリカリしているそうです。その理由は、過去数回、借家人の事業を支援するために家賃の引き下げに応じており、『「家賃を下げてもらえないと事業をたたんで出ていかないといけない。」と懇願しておいて、今は開き直って、ほかのところの家賃ではやっていけないので出ていけないって、納得いかない。お願いをきいてあげなかったら、今頃は空き室になっていたのに。』ということだそうです。

 弁護士から、話がこじれそうなら立退料の鑑定評価書をとったほうがよいかもしれないと言われたそうです。評価依頼をしたらどのような算定になるのかと訊かれたので、①安く借りられて得している部分の価値、②新たな事務所に必要な礼金等の負担分、③移転費用、④営業補償の合計が基本となると回答しました。②と③は地域の相場があり、④も借家人の業務内容や業績からみてある程度算定ができそうですが、①の部分は、家賃引き下げの経緯から判断に手こずりそうだと伝えました。あと、明け渡してもらった後、新規の運用で家主が手にできる利益分も加味して算定すべきと考えています。もし評価依頼となれば、家主と借家人の双方にとって説得力のある評価書を作成すると強調しておきました。

Categorised in: