2020年6月12日 6:52 pm

 延長された確定申告期間中の終盤に、ふたりの税理士から立て続けに連絡がありました。2件とも同様の内容で、相続した不動産を売却したが土地の取得費が不明であり、市街地価格指数(一般社団法人日本不動産研究所発行)を知りたいとのことでした。一方は春日井市内の昭和42年取得、他方は豊川市内の平成4年取得の土地です。ともに概算取得費5%は使いたくないそうで、確かに平成4年はバブル崩壊直後でまだ高い時期だから、売った値段の5%が取得費となるのは納得がいかないところでしょう。下手をすれば、取得費のほうが高かった可能性もあります。

 そもそも概算取得費5%は、昭和27年12月31日以前から引き続き所有している場合のものであり、昭和28年以降の所有にも5%を使ってもいいですよという理解です。取得費不明であれば合理的な算出方法による金額をよしとし、市街地価格指数を利用する方が多くみられるのは事実です。ただ、最近の傾向では、当該指数により算出した取得費が認められないことが多々あることを両税理士には伝えておきました。

 ひとりの税理士は、「名古屋市内の高額不動産なら、過去時点の鑑定評価をお願いして勝負したいところだが。」と話していました。過去時点の鑑定評価は、当時の物件把握や資料収集等多くの条件を満たさないといけないのでなかなか難しいものとなります。ちなみに、昭和42年の取得物件そのものが、不動産鑑定士が評価で使用する取引事例として収録されていないかと思い、愛知県不動産鑑定士協会に問い合わせてみたところ、その年次の取引事例は保存されていないことがわかりました。

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