2020年6月5日 3:16 pm

愛知県内の法人から、「近接する二か所の土地を別々の相手に貸しているが、事情により両契約地代に相当の差があり、その妥当性検証のためにそれぞれの地代を評価してほしい。」との依頼がありました。

二か所の土地は、直線距離にして60m、双方の真ん中に鉄道の高架が走っているが、街並みや土地の形状・規模は類似しています。ただ、建物の使用目的が、一方はグループホーム事業であり、他方は特定非営利活動法人(NPO法人)が行う生活困窮者支援事業でした。

依頼受付けの面談時や現地実査において、直感的に双方の地代には差があって当然ではないかと思いました。

調査過程で特に力を入れたところは、特定非営利活動法人についての情報収集と実体把握でした。内閣府のホームページにあるNPOポータルサイトから当該法人の事業報告書を入手し、事業内容や収支状況を確認しました。事業は、日本人や外国人のホームレス・生活困窮者へのシェルター提供、就労支援、終活支援などで、直近の単年度収支は少額の赤字でした。

今回の地代(新規に契約する場合のもの)の鑑定では、土地価格に利回りを乗じた額に固定資産税等を加える手法と、周辺地域で成約した地代の事例から比較算出する方法を採用しました。土地の価格水準はほぼ同一ながら、利回りについて、一方には事業目的のものを、他方には居住目的のものを乗じ、収集・比較する事例も事業目的と居住目的のものとに区別して採用しました。

鑑定結果では双方の地代に一定の差が生じ、現在の契約地代の妥当性を裏付けるかたちのものになりました。

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