2020年6月5日 5:54 pm

中学校の同級生で不動産仲介業をしている友人から、「不動産鑑定評価書の読み方を教えてほしい。」と連絡がありました。彼の得意客から、家庭裁判所の遺産分割審判に納得ができず、即時抗告をしたほうかいいか相談を受けたそうです。彼は、私が不動産鑑定士で家庭裁判所の遺産分割協議の調停委員もしていることを知っています。

相談者は3名の相続人のうちのひとり、相続財産の一つが市街化調整区域の田園地帯の真ん中にある閉鎖済みの幼稚園、その相続財産のため家庭裁判所は不動産鑑定評価書をとっていること、相談者が当該閉鎖幼稚園をもうひとりの相続人と1/2ずつ相続することになったそうです。

友人の取り急ぎの調査では、閉鎖済み幼稚園は老朽化した鉄筋コンクリート造の建物で、役所の建替え許可は確実とはいえないこと、もし、許可が得られない場合には取壊し費用を加味すれば評価額を大幅に下回ることでした。

友人と相談者の3人で鑑定評価書の内容を確認しました。率直に、市街化調整区域内の土地の評価は非常に難しいです。また、不動産鑑定士の腕の見せどころともいえます。その評価書では、建替えの許可は受けられるものとして鑑定がなされていました。その鑑定士は十分な調査を尽くして、許可の可能性が高いと判断したのだろうと思いました。

市街化調整区域内の土地価格は、建物が建つと建たないでは雲泥の差があり、そうはいっても、建物が建たなくても、どうしてもその場所を使いたいという人が現れれば、そこそこの値段が付くこともあります。

相談者は、「この物件を全員で1/3ずつ相続することになっていれば、売れる値段でたたき売っても何の問題もなかったのに。」とぼやいていました。

Categorised in: